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ヒマつぶし

第2章 天使の前世


side AKI



…ここは、どこ?

気がつくとどこまでも続く青空に囲まれたような空間にいる自分。
誰もいない…



しばらくぼーっと空を見る

「…愛姫。」

ふと自分を呼ぶ、聞きなれた愛しい声
声のする方を見ると想像していた人がそこにいた

椎名…

自然と表情が綻ぶ。
駆け寄ると椎名は私を包むように抱き締める。
がっしりしていて安心する。

自分からも抱きしめ返そうと背中に腕を回す
が、自分の腕は空を切る。

え…?

驚いて椎名を見る。

椎名は困ったような笑みを浮かべながらすーっと私から離れていった。
追いかけるが、届かない

どうして?

そんな思いでいると椎名の後ろから黒い布のようなものが広がり、徐々に椎名を包んでいく。

何が起こっているの?

やがて黒いものは椎名を完全に包むと、今度は紙を丸めるようにクシャクシャと小さく丸まっていく。
動きが止まった時には野球のボール程になっていた。

一体何がなんなのか、全くわからないまま何気なくその球体に手を伸ばす

あと、少し……

指先が球体に触れた時、

それはもろいガラスを叩いたように粉々に割れ、砕け散った。

黒いその破片が飛びその一つが自分に刺さると世界が暗転し、何も見えなくなった。






……

目を開くと白い壁が映る
何も考えられずそのままでいると一人の女性が顔を覗き込んできた。
母だった。

「愛姫!気がついた?」

……

こくんと小さく頭を縦に振る。

「よかった…」

少し涙をため、安堵した様子を見せる母。
それからしばらくの沈黙があり

「…あなた、一条君とはお別れなさい。」

……え?

「…あんな人、あなたを刺すような男…」

……待って

「…私は許しませんからね」

「…お母さん」

「……まだ付き合いたいなんて言うの?」

一条さんて


誰?

「……一条 椎名君よ。あなた…もしかして…」

椎名?


誰…誰なの?


そんな人、私は知らない……。
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