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ヒマつぶし

第1章 はじまり


姫は皇子にあの木も一緒に連れていってくれと頼んだ。嫁入りしてしまえばこの国に帰ってくることはほとんど無い。
姫はそれほど一緒に育ったあの木とは離れたくなかった。

皇子は渋々承諾した。
そして皇子の国で挙式を挙げ、はれて二人は夫婦となった。』

「ほぉ....ハッピーエンドですな。」
「いや、まだだ。まだ話は終わっちゃいない。」

『それからというもの、もともと皇子に気がなかった姫は毎日木のそばにいた。
もちろん皇子はそれをこころよく思わなかった。

ある日、姫が外出している間に葉を一枚だけ残し、木を全てを焼きはらってしまった。』

「なんと....。」
「ふふ、まだまだ続く。楽にして聞いていろ...」

『帰ってきた姫はたいそう悲しんだ。たった一枚残った葉を押花にし、肌身離さず持っていた。

ただ、皇子はそのうちにそれすらも嫌になっていた。

どうして生身の自分ではなく押花にした葉っぱなのか、自分は葉っぱ以下か?と....

気づけば姫から葉を奪い取り目の前で燃やしてしまった。
姫は木との繋がりを絶やしたくなかった。

どうせこの火も消されてしまうなら、火と共に消えてしまおう

そう考えた姫は自分自身に火を移し、望み通り火と共にその命を消しさった。

後に残された皇子は

姫のことなど無かったかのように

振る舞い、過ごした....。』

「....。」
「ただの話だ、そう暗くなるな。」
「はい....。その話はもう終りなのですか?」
「まだ....これからだ。」
「....どんな話が続くのでしょうか?」
「我が今話したこの話を実話にしよう。」
「実話....どういうことでしょうか?」
「まぁ、見ていればわかる。」
「....?」
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