第1章 はじまり
「....退屈だ。おい、そこのお前。」
「なんでしょうか?」
「何か退屈しのぎは無いか。」
「退屈しのぎでございますか....」
「ああ、こうも暇ではな....なにかあるか?」
「....でしたら物語など作ってみてはいかがでしょう?」
「物語....それは面白いのか?」
「私めは退屈しのぎによくしております。」
「ほう....。ならばこんな話はどうだ?」
『ある国に姫が住んでいた。それはなんとも愛らしい姫であった。その姫は自分と同じ年に植えられた木をたいそう大事にしていたそうな....。
ある日旅の途中で、姫の国に立ち寄った青年がいた。彼は遠い国の皇子であった。
皇子は姫を気に入り結婚を申し込んだ。ちょうど王と妃は娘の貰い手を探していたので受け入れた。
彼女の意思など聞きもせず....。』