第14章 媚薬
「ん…」
いつのまにか寝ていたのか、瞼が重い。
「あ、起きた?」
聞き慣れた声がした。
「カルマくん?」
「おはよ」
そう言ってカルマくんは私の頭にキスをした。
真上を見上げるとカルマくんが微笑みながらこちらを見ていた。
「おはよう、カルマくん」
優しく微笑むカルマくんの顔は少し寂しげにも見えた。
「望乃…体、大丈夫?」
「?…うん」
私はキョトンとした顔でカルマくんを見た。
「ほんとに?」
「うん、ほんと…あ…」
私はさっきまでのことを思い出した。
「え、どこか痛むの?」
「…なんでもない…///」
私はそう言ってカルマくんから顔をそらしてうずくまった。
(っ…/// あぁ~…私、すっごく恥ずかしいことばっかり言ってたよねぇ…///)
「……」
―――ギュッ
「……カルマ…くん…?」
私の体を包み込むようにカルマくんは私を抱きしめた。
「ごめん…予想外とはいえ、望乃に嫌な思いさせた。本当にごめん」
私の背中にポタッ…とカルマくんの目からこぼれたであろう涙が落ちた。
「…なんで泣いてるの…?」
「…望乃に辛い思いさせた…」
「…なにが…?」
私は何のことかわからず、尋ねた。
「え…だってさっき薬飲ませて…望乃が…変な風になって…」
「…?それは私がたくさん飲んじゃったからであって…別にカルマくんのせいじゃないんじゃないの?」
「っ…!そんなの…俺が元々薬なんて盛らなきゃ起こらなかった…!」
「っぷ!あははは!」
「望乃…?」
私は思わず笑った。
「そんなこと気にしてたの?そんな細かく辿ってたらキリがないよ。そしたら、奥田さんがその薬を頼まれたからって作くならきゃ良かったし、そもそもカルマくんがそんなこと考える原因となった私と付き合わなきゃ良かったし、まぁそんなこと思ってないけど…それに、奥田さんが理科が得意じゃなきゃこんな薬誰も作れなかったからやりようがない」
私は長々しい文章を淡々と語った。
「ね?だから気にしないで」
私は唖然としているカルマくんにニコッと笑みを向けた。
「っでも…!」
「もぉ~…私も怒ってないし、辛くもなかったから…この話は終わり!!」
「じゃあ…なんでうずくまってるの…?」
「え゛…」
私はさっきまで忘れていたことを思い出し、また恥ずかしくなってきた。