第14章 媚薬
~次の日~
私はいつもと同じようにカルマくんとコンビニで会い、一緒に登校してきた。
いつもと何も変わらぬ朝。
もちろん、カエデの様子も普段と変わらぬ様子だった。
「…で、その毒薬を作って来いって言われたんだ」
「はい!理論上はこれが1番効果あるって!」
カエデは昨日言った通り渚くんと一緒に奥田さんに成果を聞いていた。
私はその様子を自分の机に座りながらまじまじと見つめていた。
「どうしたの?望乃」
「…え?」
急にカルマくんに声をかけられ、反応が遅れる。
「なんか朝から元気ないよね」
「そ、そう?」
「……ねぇ」
カルマくんは目の色を変え、上目遣いでこちらを睨むように見る。
「っ!」
その目に思わず体が怯む。
「俺に、全部教えてくれるんだよね…?」
(や、やばい…ちょっと…キレてる…?)
「そ、それは…」
私は視線を逸らし、しどろもどろになる。
このことは私だけの問題じゃない。
カエデと私の問題。
「…カルマくんには…関係ないこと…なの…」
「っ?!」
私は席を離れ、カエデ達のもとへ行く。
「あ、あの…ののさん。どうかしましたか?」
奥田さんは明らかに落ち込んだ表情の私を見て、心配そうな視線を送ってくる。
「ううん、なんでも」
「あ、来たよ。渡して来れば?」
カエデは殺せんせーが来たのを見ると奥田さんに声をかけた。
「は、はい…」
奥田さんは心配そうに私の方をチラチラ見ながらも、殺せんせーのもとへと行った。
「先生!これ…」
そう言って奥田さんは手に持っていた毒薬の入ったフラスコを手渡した。
「さすがです!では早速…いただきまゴポゴポゴポ…」
殺せんせーは喋りながら口の中に毒薬を流し込んでいった。
「ヌルフフフ…ありがとう奥田さん…」
教室内に重たい空気が充満する。
「君のおかげで先生は新たなステージへ進めそうです…」
殺せんせーはそう言うと声にならない雄叫びをあげ、身体を光らせる。
周りに風が舞う。
その衝撃で奥田さんは軽く吹き飛ばされそうになる。
「ふぅ…」
(・・・え?)
「「と、溶けた?!」」
「君に作ってもらったのはね先生の細胞を活性化させ、流動性を増す薬なのです」
何事もなかったかのように淡々と話すころせんせーの姿はスライムにも似た液状の生物だった。