第14章 媚薬
「あ、あの…先生…」
奥田さんが殺せんせーの前に立ち、もじもじとしている。
「どうしましたか?奥田さん」
「毒です!飲んでください!!」
そういうと奥田さんはフラスコや試験管を差し出した。中には黄緑色っぽい色の液体が入っている。
(おぉい!ストレートすぎぃ!)
「奥田さん…これはまた正直な暗殺ですね…」
「あ、あのあの…私、みんなみたいに不意打ちとかできなくて…でも科学だったら得意なんで…真心込めて作ったんです!」
奥田さんはふざけなどではなく、本当に真剣に言っているようだった。
(ま、真心…?)
「お、奥田…さすがにそれで飲むバカは…」
「それはそれは、ではいただきます」
そういうと殺せんせーは試験管の中の液体を口の中に入れた。
((の、飲んだ!!))
「こ、これはっ…!」
(き、効くの?!)
「にゅっ」
殺せんせーの頭に角が生えた。
「この味は水酸化ナトリウムですね。人間には有害でも先生には効きませんねぇ」
「そうですか…」
奥田さんは悲しそうに答えた。
「あと2本あるんですよね」
「は、はい!」
「それでは」
そう言ってまた試験管の中の液体を口に流し込んだ。
「うっぐっ…ぐぁぁ…ぐぐぐ…」
「んにゅ」
殺せんせーの頭からは羽が生えてきた。
(な、なんか無駄に豪華になってきてない?)
「酢酸タリウムの味ですね。では最後の1本」
そういうと最後の1本を口に流し込んだ。
((ど、どうなるの?!最後はどうなるんだ?!))
「・・・」
殺せんせーの顔は白い真顔になった。
(真顔になった…)
「王水ですね。どれも先生の表情を変える程度です」
「てか先生真顔うっす!」
「顔文字見てぇだな!」
殺せんせーの顔は(・_・)という顔だった…
「先生のことは嫌いでも、暗殺のことは嫌いにならないでください」
「いきなりどうした?!」
「それとね奥田さん、生徒一人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ」
「はい…すみませんでした」
「このあと時間があるのでしたら一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
「は、はい!」