第12章 本当の気持ち
赤羽くんが急にピタッと止まる。
「ここだよ」
止まったところにあったのは大きな一軒家だった。
「わぁ…おっきい…」
「そうかなぁ?さぁ、中に入って」
そう言われて私は中に入った。
「おじゃましまぁす…」
「どうぞ~」
中は綺麗に整えられていてまるで人が来ることを常に想定していたかのようだった。
「俺の部屋、上がって右だから。先行ってて」
「あ、うん」
そう言われて私は階段を上った。
「ここかな…」
扉をそぉっと開けてみた。
綺麗だった。
まぁやっぱりという感じなのだが私の部屋より綺麗かもしれないという事実…
私はとりあえず床に座り、部屋を見渡してみる。
漫画、小説、DVD、CD、ゲーム、ノート、教科書それぞれが綺麗に棚ごとに収納されていて机の上には本が数冊置いてあるだけで余計なものはほとんどない。
「っ・・・」
私は今からこの部屋で赤羽くんに全てを打ち明けるのだ。
――ガチャ
扉の方を見ると赤羽くんが…イチゴ煮オレを2パック持ってやってきた。
「イ、イチゴ煮オレ?」
「え?ののちゃん好きだよね?」
キョトンとした顔でこちらを見てくる。
「…好きだけど…」
「だよね♪」
ニコニコして机にイチゴ煮オレを置いた。
「それで?」
「えっ…」
急に言われ私はさっきまでの覚悟を忘れる。
「何か言いたいこととかあるんでしょ?」
「っ…うん」
私はまっすぐ目を合わせた。
「ののちゃんのそういう正直なとこ、好きだな」
見つめあったままの状態でそんなこと言われたら普段は嬉しくてたまらない。
でも今は悲しい言葉。私の心を傷つける言葉。
「あのね…赤羽くんはこの話を聞いたら…多分私のことを嫌いになると思う。それでも…聞いてほしいの…」
「…うん、聞くよ」
「ありがとう…」
私は今にも消えそうな声を出して言った。
怖い。
でも、赤羽くんのため。…いや、自分のため…かな。
そう。
私が赤羽くんの幸せを望むからしていること。
ただのお節介だ。
ただの我が儘を、赤羽くんは受け入れてくれるの…?