第12章 本当の気持ち
私は授業が終わり、教科書類をまとめていつものように帰ろうとしていた。
カエデとは変える方向が真逆だから特別なことがあったりしないと一緒に帰ることはない。
だから、私は思った。
赤羽くんに言おうと。
私の汚れを。
私の存在を。
今日、一緒に帰ろう。その時に打ち明けよう。
「ののちゃん、また明日ねぇ~」
ふとカエデの声がして振り向くと、手を振りながら教室を出て行こうとしている。
「うん、明日ね」
私が手を振るとニコニコして教室を出た。
「っ…」
私は赤羽くんの教科書をまとめる後ろ姿を見て、息を飲んだ。
(…震えが止まんないよ…どうしよう)
口を開けてもその口が震えてろくに動かせない。
(大丈夫…!フラれても…大丈夫…!前に戻るだけ…何も変わらない…怖くない…!)
「あ…赤、羽くん…」
震え交じりの声は小さかったし途切れたけど伝わったみたいで赤羽くんは振り返ってくれた。
「なに?ののちゃん」
優しい笑みで聞き返してくれた赤羽くん。
「っ…一緒、に…帰、りません、か…?」
泣きたくなる気持ちを抑えて言葉を続ける。
「うん、いいよ。今丁度入れ終わったし」
そう言って椅子から立ち上がり、鞄を持つ。
「じゃ、行こっか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねぇ、ののちゃん」
学校から少し離れたで今まで閉ざしていた口を開く。
「っなに…かな?」
「今日俺ん家誰もいないし、ウチ来ない?」
後ろに腕を組みながら空を見上げて赤羽くんは軽く言って見せた。
「っ…!」
さすがに…と思ったがよく考えればこんな話人前でできるわけがない。
「…うんっいいよ…」
私は赤羽くんはきっと私の態度を見て察したのだろう。
それからは二人とも無言で歩いた。
(…赤羽くん)
私は心の中で呟いた。
(こうやって並んで歩くのは最後かもしれない)
(でもそれがあなたの幸せなら、私はあなたから離れます。あなたには幸せになって欲しいから)
(好きだから)
(あなたを好きだから)
(私がいくら不幸になろうとも、あなたは幸せになって下さい)