第9章 イリーナ・イエラビッチ
クラスのみんなの顔つきが変わる。
――ゴン!
――ガン!
――ドン!
いっせいに物が投げられる。
「出てけクソビッチ!」
「殺せんせーと代わってよ!」
「な、何よあんた達!その態度!殺すわよ!」
今や『殺す』という単語を口にしても言葉に重みなど一切感じられない。
「上等だ!やってみろよ!」
「そうだそうだ!巨乳なんていらない!」
…あれ?
1人だけ『脱!!巨乳!!』という紙を掲げている人がいた。
…カエデ…汗
ふと廊下を見ると烏間先生が頭を押さえて立っていた。
まぁ、だろうね…ごめんなさい…涙
また烏間先生の不安を増やしてしまった…
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~教員室~
私は少しビッチ姉さんと烏間先生が気になり、こっそりと教員室に来た。
――ドン!
「何なのよあのガキ共!」
ビッチ姉さんの怒鳴り声と同時に机を叩く音が聞こえた。
「こんなイイ女と同じ空間にいられるのよ?!ありがたいと思わない訳?!」
「・・・」
私はきっとこの人は人情というものを詳しく知らないのだろう。
赤羽くんとはまるで逆だ。
赤羽くんはどのタイミングでどう声をかければいいかというものが良く分かっている。
だが、それも悪いことをするのにしか使おうとしない…。
「ありがたくないから軽く学級崩壊してるんだろうが」
烏間先生は呆れたような声を出して言った。
「彼らにちゃんと謝ってこい。ここで暗殺を続けたいならな」
「なんで?!私は先生なんて経験ないのよ?!暗殺だけに集中させてよ!」
「はぁ・・・」
烏間先生は呆れたように溜息を吐いた。
「仕方ない…ついてこい」
「?!」
私は急いで教員室から離れた。
そしてまたこっそりと尾行した。
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<ここの殺せんせーのくだりはカットさせて下さい>
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殺せんせーのすごさに私は唖然とした。
今まで私の苦手なものが多かったと思っていたが、まさか一人一人問題が違うとは想像もしていなかった。