第9章 イリーナ・イエラビッチ
結局私が寝たのは朝日が昇ってからだった。
「っふぅ~…」
ようやく描き終わり、一息つく。
うまく描けたと思う。
紫色の星空、キラキラと光る星。
なんだかちょっと盛り過ぎてしまった気がする。
「うぅ~ん…」
描き直そうかと思った。
でも昨日、赤羽くんに見せてと言われた。
「持っていくか…」
まだこの絵に納得はいっていない。
「・・・あ」
ふとあることを思い出し声を漏らす。
――カランッ
筆を思わず落とす。
宿題をやっていない。
――ピピピピッ、ピピピピッ
「うわっ!」
目覚まし時計が鳴った。
(ま、マズイ…この時間じゃ間に合わない…)
「カエデに見せてもらうか…」
そう呟き、私は制服に着替えた。
そして鞄を持って家を出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の朝は1人だ。
朝は私以外誰も起きない。
だから朝ご飯はいつもコンビニのパンだ。
「ありがとうございましたー」
コンビニを出るといつも朝ご飯を食べているベンチに座った。
いつもの朝ご飯、チョココロネとバナナ煮オレ。
「いただきます」
手を合わせてパンの袋を開ける。
「お、バナナ煮オレだ」
後ろから急に声がし、振り返った。
「あ、赤羽くん!」
「ののちゃん、おはよ」
「お、おはよう…///」
どうしても昨日のことを思い出してしまい、少し照れる。
「ののちゃん、煮オレシリーズ好きなの?」
「えっ?」
ふと自分の手の中にあるバナナ煮オレを見る。
「う、うぅん…そういうわけじゃないけどただ、美味しいから。あ、バナナとイチゴは何回も飲んでるよ」
「へぇ…俺、煮オレシリーズ好きなんだよね」
「他にもたくさんあるんだぁ」
「うん。あ、そうだ絵、描いた?」
赤羽くんが思い出したように言った。
「あ、うん!」
私は大きな画用紙が折れないように買ったケースを開け、絵を出した。
「おおぉ~!」
「まだ納得はしてないんだけ
「離して下さい!」
私が言い終わる前に女の人の声が聞こえた。