第8章 死んじゃったら悲しむ人がいる
今日は朝から赤羽くんは殺せんせーにたくさん暗殺を仕掛けた。
もちろん全て失敗した。殺せんせーに警戒されてちゃ仕方ないことだ。
しかも今の赤羽くんのやり方では難しすぎる。
不意打ちを狙った作戦。でも殺せんせーにはその肝心の隙がない。
なにかアドバイスすれば変わるんだろうけど…なんて言ったらいいか…
(って、何考えてるの…私なんかじゃ赤羽くんを混乱させるだけじゃん!私なんかじゃ役に立てないよね…)
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「くっ…!」
(渚くんに言われてついてきたけど…私がいても意味がないんじゃ…)
「カルマくん、焦らないでみんなと一緒に殺ろう?殺せんせーにマークされちゃったらどんな手を使っても一人じゃ殺せない。普通の先生とは違うんだから」
「先生…ね…」
赤羽くんは少し遠い目をしながらつぶやいた。
「やだね、俺が殺りたいんだ。変なとこで死なれるのが一番むかつく」
「赤羽くん…」
私は少し心配そうに赤羽くんの背中を見つめる。
「カルマくん、今日はたくさん先生に手入れされましたね。まだまだ殺しに来てもいいですよ?もっとピカピカに磨いてあげます」
「こ、殺せんせー…」
赤羽くんは殺せんせーの方を向いて言った。
「殺せんせーって、先生だよね?」
「はい」
「確認したいんだけど、先生ってさぁ…命をかけて生徒を守ってくれる人?」
(嫌な予感がする…)
私の背中に嫌な汗が流れる。
「もちろん、先生ですから」
「そっかぁ、よかった。…なら…殺せるよ…確実に」
(っは?!)
ーー赤羽くんはそう言うと崖から飛び降りたーー
「赤羽くん!!!」
私は赤羽くんの後を追いかけるように思いっきり走った。
「市ノ瀬さん!ダメだよ!」
渚くんが私の服の袖を引っ張る。
「離して!このままじゃ赤羽くんがっ!!」
その瞬間、私たちに音速の風が吹いた。
「こ、殺せんせー!」
殺せんせーは赤羽くんの最終到達地点と思われる場所に降りた。
そしてそのまま赤羽くんを触手のネットでキャッチした。
「赤羽くん…!よかった…!」
赤羽くんは、殺せんせーのおかげで助かった。
(赤羽くん…本当に、本っ当によかった…)