第7章 赤羽 業
「へぇ!あれが噂の殺せんせー?すっげwほんとにタコみたいだw」
赤羽くんは興味深々の口調でそう言いながら殺せんせーのもとへと歩いて行った。
「赤羽業くん。ですね?今日から停学明けと聞いていましたが、初日から遅刻はいけませんねぇ」
ブッブーっと殺せんせーの顔色が暗い紫色になり、真ん中に✖の文字が浮かび上がっている。
「あははは…(汗)生活のリズム戻らなくて。下の名前で気安く呼んでよ。とりあえず、よろしく。先生」
「こちらこそ、楽しい1年にして行きましょう」
「――バン!」
赤羽くんが殺せんせーの手(触手)をギュッとした時、先生の細胞が壊れた。
つまり、ダメージを与えたということだ。
「ぬ?!」
先生も驚いたようで驚きの声を上げる。
「ッ!」
その瞬間赤羽くんは手首の制服の裾からナイフを取り出し、殺せんせーに振る。
だが先生には当たらなかった。
「へぇ…ホントに早いし…ホントに効くんだ、このナイフ。細かく切って貼っつけてみたんだけど…」
赤羽くんはそういうと自分の手のひらを眺める。
「けどさぁ先生、こんな単純な手に引っかかるとか…しかもそんなとこまで飛び退くなんて、ビビりすぎじゃね?」
小馬鹿にしたように先生の方へと歩いていく。
今の状況で私たちが理解できたのは1つだけだった。
――赤羽くんが初めてダメージを入れた――
「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたんだけど…」
「うぬぅ…」
先生も流石に警戒したのか後ずさりする。
「あぁれ?先生ひょっとしてチョロい人?」
挑発するように下から殺せんせーの顔を覗き込んでいる。
「うぬぬぬぬぅ!」
先生はあっさり挑発に乗り、顔を真っ赤にしていた。
「渚ぁ、改めて聞くけどカルマくんってどんな人なの?」
「うぅん…1年2年が同じクラスだったんだけど。2年の時、続けざまに暴力沙汰で停学食らって…このE組にはそういう生徒も落とされるんだ。でもこの場じゃ優等生かもしれない」
「?どういうこと?」
「凶器とか騙し討ちなら多分、カルマくんが軍を抜いている」
私は少し複雑な気持ちになった。
(もう少し、こっち見てもいいんじゃないかな…)