第7章 赤羽 業
「1、2っ、3、4っ、5、6、7、8っ…」
今日から体育は烏間先生が担当することになった。
(やっぱ烏間先生はかっこいいなぁ。)
思わず見入ってしまう。
「ののちゃん?どうしたの?」
「っは!あわわ!思わず見入っちゃった」
「??」
そんな会話をしてるといつの間にか烏間先生と磯貝くんと前原くんの1対2の対決が始まっていた。
「おっ、おぉ!おぉお!」
「わぁ!烏間先生すごいなぁ、2人相手なのに余裕だね!」
「うん!やっぱかっこいい!」
そんなことを言っていると3人の対決は終わっていた。
「では今日の授業はここまで」
「「ありがとうございましたー」」
(?…ん?人影?)
人影がありその人物をジッと見ているとハッとする。
「えっ・・・」
(待って…早すぎるよ、なんで…なんでいるの…)
「ののちゃん?どうしたの?」
カエデが声をかけてきた。
「あれ・・・」
私は震えながらも指差す。
「あれ?あぁ、誰かいるね」
私は急いでカエデの後ろに隠れる。
「えっちょっ、ののちゃん?」
少しずつ前進しながら私たちは移動していく。
そしてその人物の顔がしっかりと見えるところまで移動した。
「よぉ、渚くん。久しぶり」
その人物が口を開き、私の体に電撃が走る。
やっぱりそうだ。この声、覚えてる。
あの日、私を救ってくれた人。
あの日、私に初めての感情を送りつけた人。
「"カルマくん"帰ってきたんだ」
そう。赤羽くんだ。
ついに会ってしまった。
ついに時が来てしまった。
カエデの横からヒョコっと顔を出すと赤羽くんと目が合った。
赤羽くんはハッとした後少ししてからニコリと微笑んだ。
その瞬間心臓が飛び跳ねた。
間違いない。
赤羽くんは私のことを覚えている。
そして今、『あ、あの人。前に会った人だ』と言わんばかりの顔をして微笑んだ。
心臓がうるさく響く。
カエデはボソッと「もしかして、カルマくん?」と言った。
私はコクンと頷く。
――あぁ、ついにこの日が来てしまった。――
私の脳みそはそう呟いた。