第4章 働きもの
「隼斗がやってくれるなら、僕も助かるんだけどな。」
「んぐっ…!…はぁー、やりますよ。この隼斗さんがやってやりますとも!」
マサさんの言葉が決定打となったようで、隼斗くんはなんだかんだ乗り気で幹事を引き受けた。
(クリスマスパーティーか…)
昨年、というかほぼ毎年私はこのクリスマスパーティーに参加している。
「なぁ!絵夢もクリスマス、来るだろ?」
『あっ、えっと…』
昨年までなら二つ返事で答えているところだ。しかし今年の我が家には『彼』がいる。
彼にとって、私がクリスマスパーティーに参加するかどうかなど全くもって関係のないことだ。しかし、なんとなく彼には確認を取っておきたかった。
『ちょっと、予定確認してみますね。』
「は!?お前もしかして、俺を差し置いてデートか!!」
『ええっ!?なんでそうなるんですか!!」
隼斗くんの一言に他の従業員まで私を質問攻めにしてくる。こういうときの彼の声の大きさは困りものだ。
『だっ、だから違うんですって!』
「絵夢ちゃんに恋人?僕聞いてないんだけどなー」
『ちょっ…マサさんまで!!』
これは収拾がつかないと判断した私は急いでカバンに荷物を詰め、一目散に扉へと駆け出した。
『み、皆さんお疲れ様でした!お先に失礼します!!』
______バタンッ
扉が閉まった瞬間、くつくつと笑う声が広がる。
「ほんとあの子はからかい甲斐があるね。つい構いたくなっちゃう。」
「うっわー、マサさん悪い笑みっすねー。俺の妹分に手出さないでくださいよー?」
絵夢へのからかいとその話題がひと通り終わったところで従業員たちは各々の帰り支度を始めた。