第10章 COMPLEX!-貧の場合-(入江奏多)
●COMPLEX!-貧の場合-(入江奏多)●
『あ~もう…肩凝る~はいいよね~』
そう言ってクラスメイトが私の胸を指で指した。
『スレンダーで。』
『こんのやろおぉおぉお!!
人が一番気にしている事をおぉおお!!』
『きゃ~!!がキレた~!!』
私の悩みはずばり!!胸が小さい事。
ペタペタと自分の胸を触ってみるが、
やはりペタペタはペタペタだった。
中学生の頃、まわりの友達は胸が大きくなってきた。
私もそろそろ…と思っているといつの間にか
高校生になっていた。
巨乳なんて贅沢は言わない。
だけど少しくらい胸があってもいいじゃないか…
世の中は理不尽だ!!!
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『う~ん…貧相だ…』
帰宅し自分の部屋で、着替えついでに
鏡の前に立ってみたが、完全に色気ゼロだ。
その胸の膨らみはほぼ皆無で、
板と比喩されても文句は言えない。
『は~あ…鬱だわ…』
溜め息をつきながらブラウスのボタンを留める。
『僕はいいと思うけどなぁ。』
『!?』
突然背後に現れたのは、家がお隣で
私の彼氏である入江奏多だった。
『…な…ノックぐらいしてよ!!』
『したよ、でも返事なかったから。』
悪気も無さそうに、にこりと柔らかく笑う奏多。
『…さっきの……見た?』
『見た!』
…あぁ、やっぱ見たのか、そうですか。
まぁ、いつかはバレる事だけどね。
『奏多はさ…』
『ん?何?』
『胸、大きい方が…好き…?』
『そんな事気にしなくていいのに。』
『し、質問の答えになってない!!
…どうせ男なんてみんな巨乳が大好きなんだぁ!!』
『そんな事ないよ~。僕は小さいのも嫌いじゃないよ。』
『ほ、本当に…!?』
『でも、がどうしても大きくしたいなら…
手伝ってあげてもいいよ?』