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シンデレラと白雪姫

第1章 Another World


風呂掃除ののち風呂を沸かし、今日の一番風呂が誰かを確認して連絡する。
今日の晩御飯は…継母が外商で買った和牛のステーキ。
この家の人間の食生活とシンデレラの食生活は一致しない。彼女はささっと済ませる。納豆、味噌汁、サバの水煮の缶詰、玄米。身長165㎝体重45㎏を維持できているのは和食メインだから、と彼女は公言したいらしい。尤もその相手もいないのだが。

3人が風呂から上がったタイミングで晩御飯。食後のデザートまで出して、皿洗い。もう生まれてから半分もの時間をこの人たちに費やしているのか。とふと遠い目になる。明日はシンデレラの誕生日だが、自分でもよく忘れてきた。カレンダーを見てその日が過ぎていることに愕然とすることが非常に多い。そういう年は大体次の月に誕生日のある長女が抱えきれないほどのプレゼントを持って帰ってきて初めて気付いていた。
18歳ー砦の向こうの世界では車の運転免許は取れるし、同い年の彼氏と結婚することもできる。オトナの階段も登れるらしい。
みんな自由なのか。
弟「おいオレのケーキどこだよ?」
化学重要問題集2013を閉じる。隠そうとしたが遅かった。
「なにこれオマエ妹のパチってんじゃねぇよ。」
冷蔵庫からフルーツタルトを出して紅茶を淹れる。
「オマエはオレたちの世話してるだけでいーんだよ。身の丈にあわねぇことすんなよ。やっぱあのオヤジの実の娘だけあってすっげー腹立つ」
涼やかな声が響いた。
妹「兄さんこの子は可哀想なんだよ。だって殺人犯のDNAを受け継いでいるんだもの。受け継ぐのは料理の腕だけにしとけばよかったのにね」
継母「この子は器量は悪くないし家事もできるから将来競売にかける予定なのよ?いい考えでしょう?」
兄「ただいまーってなにこの騒動?」
姉「♬♩♬♪🎶〜〜」
ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ
押し殺せ!感情を。怒れば思う壺だ。
いつもそう思って自分なりに抑えたけど。
ごめん、父さん。もう無理や。

「父さんは殺人犯やないっ!冤罪や!継母みたいな阿呆と再婚して捻くれた子供が4人も増えてそれでも笑っとった。多少の恩もあるやろに事欠いて信じひんたぁ人としてアウトやわ!もうええうちは出て行く!ほな御機嫌よう」
ドアが静かに閉まった。
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