• テキストサイズ

シンデレラと白雪姫

第4章 Desire


フィリップ…白雪姫が呟き、弟に飛びついた。フィリッブは当時幼児だったため姉の存在は知っていて知らないようなものだったが、飛びついてきた姉を抱きしめ返した。
「ちょうどよかったわ。先ほど信州国に嫁いだ姉上から林檎が届きましたの。こちらへ」
そう言って林檎がフィリップに渡される。
突如二人は大臣に腕を引かれてフィリップとの間に距離ができる。
ーイチカバチカー
シンデレラは履いていたヒールをフィリップの持つリンゴに目掛けて放った。
驚いたフィリップはリンゴーもとい、毒リンゴを取り落とした。
「あかん、それ毒リンゴ!あんた食い意地張ってたら死ぬで!!」
「…白雪姫のお連れの貴女?何をおっしゃっているの?当家の食材は全てオーガニックで契約している農家のものしか使っておりませんのよ?なのに随分と物騒な物言いだこと。」
「いいえ、女王様。この子が鏡に呼ばれて教えられたそうですよ。毒リンゴを王子に食べさせて毒殺し、そして次の国王はこのイカサマ大臣閣下。そして…12年前の国王暗殺事件の黒幕はあなた方お二人だということを。」

しん、と静まり返った部屋の静寂を切り裂いたのは女王の高笑いだった。整った顔が般若の面の如く変容する。
「証拠もないのによくもそこまでおっしゃってくださるだなんて、優れた想像力の持ち主だこと。…過ぎたる好奇心はネコを殺すけれども過ぎたる妄想力は国を惑わし、潰してしま『国を潰すのは権力に目が眩んだ、欲にまみれた人間よ!!』」
「ねえ…母上は…毒リンゴで息子の僕を殺して、大臣を次の王にするつもりだったの?」
フィリップの目にさすがの女王も唾を飲んで固まった。

「大臣閣下は確か名古屋国のご出身だとか」
いかにも、と大臣は微笑んで見せる。
「留学先の京都に留まった理由は…単刀直入に言うと、王妃との関係を続けたかったから」
相違ありませんね、とシンデレラは続けた。
「当然国王は快く思われないでしょうね。王妃が他の男…しかも信用を置いていた大臣と通じているだなんて。」
女王も大臣も眉ひとつ動かさない。
シ「12年前のクリスマスの日、女王様は名古屋国王の生誕30周年パーティーに出席なさるということで帰省なさっていますよね?」
女「あらよくご存知ね。ならば尚更暗殺事件の犯人は私達ではないじゃないの」
シンデレラは不敵に笑って続ける。
「ですから黒幕なんです」
/ 25ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp