第2章 決断
「お館様!今すぐ、今すぐに駆けつけなくては!」
「駄目だ。今すぐ動いたとしても兵数が足らん。それに、今動いたら相手の思う壺だ。もう少し様子見をする。」
「兵数のことなら、自分一人で参りますゆえ…」
「幸村!!…………一旦落ち着け。奏依のことが心配なのは皆同じじゃ。落ち着いて冷静に考えてみろ。焦ったら負けじゃ。」
………そうだ。自分ばかりが心配なわけではない。
連れ去られてから、焦ってばかりで我を忘れていた。
一度深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「申し訳ありませぬ。自分、我を忘れていました。」
「よい。取り乱すことは致し方あるまい。ワシだって同じだ。」
…っ!そうか、お館様の方が心配しているに決まっている。
自分がこうではお館様を守るどころか、奏依殿だって助けることすら出来ない。
自分がしっかりせねば……!
「…今は、お館様の言う通り、しばらく様子見を致しましょう。」
「あぁ。そうだな。」
「それと、自分に良い考えが御座います。」
「なんだ?言ってみろ。」
奏依殿に負担を掛けず、安易に助けられる方法。
けれど、それなりに危険性も高い。
一か八か、試してみなければわからない。
それでも、助けるためには、危険を冒してでもやらなければならない。
「それはーーーーーーーーーーーーーー」