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Dye D? 2

第30章 孤独


私は暗闇で目を覚ました。

身体が動かない...

小さい箱に閉じ込められているようだった。

パニックになりそうな気持ちを
必死に落ち着かせていた。

何とかここから逃げ出す事が出来ないかと、
暗闇で手を動かして隙間を探してみた。


そう言えば、
ホテルから逃げ出そうとした時に私は...。

あの時に会ったのは誰なんだろう?

思い出せない、その部分だけが思い出せない。

狭い中に閉じ込められて、
息も苦しく、常に恐怖に襲われているように感じる。

少し出来ている隙間から
手を動かして自分を囲っている壁を叩き続けてみた。

手の痛みなんか、
死ぬことにくらべたら今は何ともない。

ひたすら叩き続けていた時だった。
急に目の前に光が入ってきた。


錦戸「お前、こんな所に閉じ込められてたんか?」


明るさに慣れて来た時、
今一番 
会いたくない吸血鬼の顔が
目の前にあった。

私は驚いて起き上がりながら、
周りを見渡してみた。


錦戸「俺らの寝部屋の棺桶に閉じ込めるなんて、
敵も考えたな」

ニヤニヤしなから錦戸は言った。

「わ、笑いごとじゃないんですけど、
本当に息苦しくって死ぬかと思ったんですよ!」


私のその言葉に錦戸は冷たく言った。


錦戸「そりゃ、死んだヤツが入る所やしな。」


その言葉に怒りを感じたが、
助けてもらった手前、私は何もいえなかった。


「助けていただいて、
ありがとうございました」

軽く頭を下げて棺桶から出ようとした。

しかし、足に力が入らず
ふらついた私を目の前の吸血鬼が力強く支えた。


錦戸「酸素不足で動けなくなってるんか?」


意地悪そうに言う彼の手は氷のように冷たく、
私は急いで手を引いた。


「も、もう、大丈夫ですから」


錦戸「冷たさが気持ち悪いか?」


そう言うと私を睨みつけた。

私が言葉が出ずにいると彼は冷たく言い放った。


錦戸「永遠の命を得る為の代償は大きかったんや」

静かに瞳を伏せたのだった。

私は
この人たちの
永遠の孤独を垣間見てしまった気がした。
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