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神の巫女Ⅱ

第4章 十年前


「桃、藤さんと飛鳥さん…唯ちゃんと幸助君の家がな…全焼して…」

村長らしき人が桃に話しかけていた。

「唯ちゃん達…皆、死んじゃったんだよ…」

皆…?皆って誰と誰?死んじゃった…?

ショックで何も考えられなかった。涙も声すらも出ない。

「泣いてもいいんだよ、桃。」

悠が優しく桃に囁いた。泣くのを我慢している訳ではない。この状況を理解できていないのだ。

「うん…ありがとう…今日はもう家でゆっくりする。じゃあね、悠、令君、匡君。」

ぼーっとした様子で桃は帰って行った。

「あの、村長さん…桃ってどんな子ですか?」

なぜか悠は桃について知りたかった。昔住んで居た所や性格、歳も知りたかった。とにかく知りたいと思った。今まで読んだどんな本より興味が湧いた。こんな感情初めてだった。
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