第9章 対戦
赤司は、刀を鞘に収めながらそんな事を言う。
「まぁ、初めてにしちゃ…上出来だ。てか、本当に初心者か…って疑っちゃうぞ?」
光瑠は、苦笑を見せながら黒子達を褒める。あの光瑠が褒めるというのは、凄いという事が分かる。柚姫は、その様子を見て、クスと笑うだけだった。
すると、光瑠は当たりを見回す。光瑠の表情は、何か思い詰めたような顔をしていた。
「どうされましたか?光瑠様?」
「ん?いや…なんでもない。ちょっと…な…。」
様子がおかしかった事に、気付いた賢次は声を掛けるが、光瑠はすぐに表情を戻す。光瑠は、皆に背を向けて撤退の指示を出す。
──なんだ、この胸騒ぎは…。気味が悪い…。
光瑠は、部下達に気づかれないように、自分の黒いコートの胸あたりをギュッと強く握っていた。
光瑠は、不安を抱えながら城へと帰るのだった。城に到着すると慌ただしく、怪我人は治療へと急ぐ。
そして、心配そうな顔をしているさつきの姿があった。そのまま黒子に飛び込む。
「テツくーん!!大丈夫だった!?」
「はい、平気ですよ。桃井さん。」
「皆様、ご無事でなによりです!」
ホッと胸を撫で下ろす優花の姿もあった。光瑠は、無言で優花の頭を優しく撫でる。勿論の事、優花は目を丸くさせて、頬を赤く染める。
「すまないな……。ただいま、優花。」
「え、あ………はい!お帰りなさいませ!光瑠様!」
光瑠の優しく笑みは、誰もが惚れるだろう。