第12章 約束
突然変異から聞こえてきた声。それもどこか聞いたことのある者だった。勿論、皆は驚きの顔を見せる。やがて、光瑠は睨み付ける。
「まさか…叔父上なのか!?ついに落ちぶれたのか、叔父上ーッ!」
光瑠は、左手に持っている刀をギュッと強く握り締める。突然変異…つまり杲良はコクリと頷く。
「ソウダ。コノ国ハ、僕ノ物ダーッ!今ノ僕ハ、誰ニモ止メラレナイ!諦メロ!」
だが、その言葉を打ち破るかのように、賢次が言った。
「大丈夫です。最後まで諦めなければきっと勝利は見えてきます。」
真剣な瞳で、そう言ったのだ。杲良は、怒りを露わにして洸汰に向かって言った。
「オ前ハ、殺サナイノカ?光瑠や柚姫を…。」
すると、洸汰の刀がキランッ!と輝き刀に炎が纏う。
「俺は……命が続く限り、大切な人を守り抜く!それは、俺が決めたんだ!!」
洸汰の叫びが、地下室に響きわたる。杲良はつまらなそうな表情を浮かべていた。その時だった。
ピカーンッ!と黒子達の足下の呪文陣が光だす。完成したのだ。
「Do il mio potere a tu. Apra una porta vietata!」
そして、眩しい程の輝き出し、黒子達の視界をどんどん奪う。さつきは、必死に手を伸ばし柚姫を掴もうとする。
しかし、それを遮ってしまう光。その僅かな隙間から柚姫の表情が見えた。それは、とても綺麗な笑顔を見せていた。そして…。
「心配そうな顔をしないで……。きっとまた、何処かで会えるよ。だから笑って?泣かないで?さようなら…なんて言わないよ。だから─────。」