第3章 異世界
しかし、右腕を怪我をしているせいか、右手は僅かに震え、何度か刀が落ちそうな状況であった。
「黄瀬、大丈夫か?」
「は、はい…ス。俺は大丈夫っスけど……。」
笠松に声を掛けられたら黄瀬は、柚姫の方を見ながら答える。痛々しい光景だ。柚姫が率いる部下や洸汰は、ミミズの突然変異の体に、次々と攻撃を繰り返す。
傷付けた場所から次々と大量の血が流れ出す。ミミズの突然変異は、苦しそうにギャォォーッ!と声をあげる。ミミズの突然変異の足掻きなのか、大量の鋭い蔓が現れる。
「っ……やられたな。」
柚姫は、呟きながら思いっきり右手に力を込める。そのお陰で、右腕から先程と比べられないぐらいに新たな血が流れ出す。そして、大量の鋭い蔓を切り落としていく。
いつも以上の鋭い瞳で柚姫は、ミミズの突然変異を睨み付けて、洸汰に合図を送る。柚姫は左手でチョキの形を作り、自分の首もとまで持っていき奥から手前へとスライスさせる。
この意味は…『首を落とせ』という合図。洸汰は、この合図を見たらコクリと静かに頷き、すぐに行動を起こす。洸汰は、ミミズの突然変異の正面に立つ。ギュッとしっかり刀を握り締め、ミミズの突然変異を睨み付ける。
やがて、洸汰の持っていた刀がキランッ!と光る。そして、刀の周りに炎が出現する。ゴゴゴゴ…という音が鳴り出す。これが、洸汰の能力。その音に反応したミミズの突然変異の蔓は、洸汰に襲い掛かる。
しかし、洸汰はそれを全て斬る。斬った蔓から炎が乗り移り激しく燃やす。