第12章 約束
突然と柚姫の部屋のノック音が聞こえてきた。柚姫は、許可を出してみるとそこには顔色が真っ青な優花の姿だった。
「た、大変です!杲良様の姿がありません!脱走したもようです!」
この一言に、2人の顔色も一気に変わった。慌てて杲良の部屋に向かい確認する。窓が開いていて其処から風が流れ込む。流石の光瑠でも驚きの顔を隠せない。
「馬鹿な、此処から相当の高さがある。幾ら神禮一族って言っても、身体は普通の人間と変わらない!では、何故?」
光瑠は、窓に近づき下を覗く。しかし、飛び降りた先には血の後とか一切残っていない。高いところ飛び降りてしまえば、頭から落ちてしまう。
仮に頭から落ちたとしても、大量出血が起きても可笑しくはない。しかし、その跡すら残っていない。
ふと柚姫は結界の方向を見る。何か違和感を感じていたのだ。
「……まさか…!?お兄様、このままだ、と……。」
「っ、マジで言ってるのかよ!?優花!黒子達をリビングに集めろ!他のメンバーもだ!緊急事態だ!」
光瑠は声を張り上げて、優花に指示を出す。優花は、はいっ!と返事をして慌てて部屋を出て行く。
柚姫と光瑠は、険しい表情を浮かべる。やがて、この2人もリビングへと向かうのだった。
光瑠の緊急事態という言葉で、城中は慌ただしかった。2人がリビングに向かった時には、黒子達も居た。
「随分、騒がしいっスね、どうしたんスか?」
未だ状況が掴めていない黒子達。当たり前の話だ。まだ、何も話していないのだから。