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異世界の住民【黒子のバスケ】

第10章 恨み


そう言って、リビングを出て行く杲良だった。柚姫は、抜いた刀を鞘に収める。光瑠は、腕を組んで優しい瞳で洸汰を見て言った。

「洸汰、休むといい。コイツの護衛は大丈夫だ。精神的に参っているだろう。部屋に戻るといい。」

光瑠の優しい言葉に驚きの顔を隠せない洸汰。やがて、僅かに口元を緩ませ、失礼しました…と弱々しく光瑠に言ってからリビングを出て行った。

その背中は、どうも小さく見えた。柚姫も心配そうな瞳でその背中をずっと見ていた。

「なんか、あったのかよ?恨みって言ってたけど…。」

青峰は、だるそうな表情をしながら質問をする。その瞬間、さつきは空気を読んでよ!と怒り始め、青峰の耳を軽く引っ張る。勿論の事、青峰は痛そうな顔を歪める。

光瑠は、一端目を瞑りやがてゆっくりと開き、息を静かに吐いて言った。

「アイツの父親も、俺達と同じように戦っていた。俺達や街の人達を…大切な人を守る為に…な。」

「その父親は…?」

氷室は、静かに光瑠に質問をする。光瑠は、死んだ…と短く答える。黒子達の顔色が変わる。

「賢次さん、洸汰の様子を見て来て下さい。」

柚姫は、賢次にお願いをする。賢次は、僅かに目を見開いていた。

「しかし、私が此処を離れれば…。」

「その心配はいりませんよ。叔父様は、此処には来ないでしょう。お願いします…。」

柚姫の必死な願いに、賢次はやがて、分かりました…と頭を下げてリビングを出て行った。
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