第4章 voice 花京院
…酷い熱だ。38℃、風邪をひいたらしい。
病気なんて滅多にしない僕がここまで風邪をこじらせるのは珍しくて、流石に休めと両親も言ってくれた。転校してきてからそれほど日数がたっていないのに休むだなんて、次に学校に行く日が気まずく感じる。
無料メッセージアプリには僕の体調を気遣ってくれているクラスメートからのメッセージが沢山だ。僕の事を心配するなんて、何ていい人達ばかりなんだろう。
その中には植嶋さんからのメッセージもあって何処か安心した気持ちになった。昨日の受け答えで勘付かれてしまったら何と言っていいかわからない。
『おはよう、具合悪いのにメッセージ送ってごめんね。今日は特に大した行事もないしゆっくり休んでも大丈夫だよ。クラス委員だし帰りに配布物を持って行こうと思うんだけど家がわからないんだった。もし良かったら現在位置出してもらっていい?』
な、なんてことだ。彼女がここに来るのか?そう考えただけで体中の細胞が暴れだすような感覚に陥る。
そうだ、断ればいいんだ。どうせすぐ治ると。いやでも、彼女とコミュニケーションがとれるいい機会だし良心でやっていることを無碍になんてできるか。そんなことはできない。
僕は了解した、と送って現在位置を添付し、再び眠りについた。
アラームが鳴り、目が覚めたのは14:00だ。もうそろそろ学校が終わる時間になるので部屋の掃除をしておかなければならない。何せ植嶋さんがくるのだから。
特にあのゲームは隠しておかなければならない。万が一見つかったら絶交されかねない。
僕の部屋はもともと掃除が行き届いていて自分で言うのは変だが結構きれいな方だ。別に掃除が好きだというわけではないが暇だと何となく片付けたりする。漫画を1から順番に並べたり、中身が入れ違ってしまったゲームを整理したり、プリントの処理をしたり…その程度だ。
ピンポーン
あ、来たのか。
ちゃんと着替えはしたし、髪の毛も大丈夫だ。
「こんにちは、体調はどう?」
「おかげさまで、熱はかなり下がったよ」
「よかった、ハイこれ、プリント」
来週から読書週間が始まるというプリントやもうすぐある定期テストのお知らせだったり、そんなことがのっていた。