第1章 無垢
あんていく─────
「ヒナミちゃん。また読んでるの?」
小さな喫茶店、
そこには小さい少女と
おとなしそうでひ弱そうな少年がいた。
「うん!お兄ちゃん、これなんて読むの?」
「あぁ、うん、これはね?」
お兄ちゃん、と呼ばれた少年は
ヒナミと呼ばれた少女に熱心に言葉を教えていた。
「もっと、教えてね!お兄ちゃん!」
「うん。もちろん!」
二人は笑い合う。
「すいませーん!コーヒーおかわりいいですかー?」
客に呼ばれ少年は
少女にごめんと言い、コーヒーを持っていってしまった。
「私もがんばろ。」
ヒナミはそう呟くのであった。