第1章 親子
ふ、とは息を吐いた。今まで言いにくいことは沢山あったけど、自分の過去話ほど言いにくいことはない。
はベッドの上にいる、白ひげを見た。鋭い瞳に見つめられると、恐縮してしまう。白ひげから「船から降りろ」と言われるんじゃないか、とは気が気でない。
「」
「はい……」
「テメェは、どうしたいんだ?」
思わぬ問いかけに、の肩が揺れた。どうしたい」、んて聞かれても、には返事の仕様がない。
(己だってそうだが)きっとこの船には、天竜人のことをいいように思っている奴なんて、いないだろう(をこの船に引き込んだのは、彼女の正体を知らなかったからだ)。だから今回のような騒動が起こり、は片目を失うことになったのだ。それを白ひげは知っているのに、随分と意地の悪い質問をするものだ。側にいたマルコは、そう思った。