第1章 信頼。信用。
「お客さま、お荷物、上に置きましょうか?」
「あ、いえ、これで最後ですから。」
どうも、と会釈をして席に座った。
ここはアメリカ。
そして空港。
私は今日、このアメリカから飛び立つ。
というか、帰郷する。
「ヒロト…」
そう。大好きなヒロトに会いに。
でも、不安。
待ってて、とは言ったけど、
連絡も一切してこないし。
私もしてないけど、ていうかできないわよ。
あんなふうにかっこつけといて…私のバカ。
「彼女、できてたりするのかな…」
なんて、マイナスなことばっかり。
あぁ、そう。
なんでニューヨークにいたかというと、
あのとき私は期間内の交換留学を薦められて、
ヒロトとのこともあったし、
成長できると思って来たわけ。
それぐらい報告しておけばよかったかしら、
私ってこんなにもさみしがり屋だったかしら…
「ヒロトのせいよ…」
はやく、あなたに会いたい。