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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第4章 夢かうつつか?


「まず、幻覚・幻聴――総称して“意識障害”といいますが、その発現者の増加です」

紙を見る。

『一、意識障害者の異常増加』

なんともブッソーなタイトルだ。

「幻覚を見たり、幻聴を聞いたりする人がふえてる、ってことですね?」

「はい。急にぼーっとして、一切の刺激に無反応になったあと、それらの錯覚に反応する……これがだいたいのパターンです」

「どんな意識障害なんですか?」

「ほとんどが不快になるものです。しかし中にはそうではないものや、幽霊を見た、というものもあります」

「ゆ、幽霊ぃっ!?」

思わず声がうわずりビクついてしまう。

私の顔は引きつっているに違いない。

幽霊様には本当にお帰り願いたい。

「困ったことに、気のせいだと片付けられないものばかりで」

私の反応をしっかり確認した上で、なおも続ける。

「誰がいつ見ても、同じところに同じように“ソレ”が見えるんです」

「……」

「おかしいですよね? しかし霊媒師やその筋の方々は、なにもないと仰る」

「…………」

「ですが、見えるんですよ。いつ、誰が、どのように見ても」

「………………」

「っとすみません、怖がらせてしまいましたか?」

「……………………いえ」

蚊も聞こえないような返事をする。

心無しか、菊が楽しそうに見えた。気のせい、そう気のせいだ。気のせいだと信じさせて。



「あと酷い場合は自分以外全員が死んでいたり」

「それロシアだけじゃないですか!?」

「あとは色彩感覚が物凄い状態になったり」

「それもアメリカだけじゃないですか!!?」

「あとひたすら結婚を迫る女性に鬼も泣く形相で追いかけられたり」

「それ絶対ロシアだけだ!!!」

よくわからない応酬だったが、酷い意識障害を起こすことは、十分すぎるほどわかった。

私の反応で、私のこの世界に対する知識の度合いも、なんとなく菊は理解したようだ。
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