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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第36章 --.信号:符号間干渉





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「……これで、満足かよ」

吐き捨てるような声が、静寂を引き裂いた。

あたりには二つの人影以外、誰もいない。

宵闇の降る屋上で、彼――イオンは、絵画からそのまま飛び出してきたような微笑を浮かべた。

「やっぱり、僕の人選は間違ってなかった。適役は君だ」

その言葉に、もうひとつの人影がぎり、と奥歯を噛む。

夕明かりのかけらが、イオンを睨む瞳の中で弾けた。

「“これでよかったのか”――そんなこと、君が一番わかってるんじゃないか?」

「……」

イオンにそのまま思考を指摘され、彼と対峙するもう一人の人物――

ギルベルトは、開きかけた口をつぐんだ。

「確かにこれはベストではなくベターだ。けど、現在のベストではあるんだよ。
理想的なベストを探すのは自由さ。『約束』以外好きなようにしていい。

――“そんなもの”がある保証なんて、どこにもないけどね」

「……虚数空間に行くなと、お前は言ったな。そこにも“そんなもの”はないのか?」

「ははっ、とても人質をとられてる人の目じゃないね。本当に君を選んでよかった」

「――答えないのか」

今にも懐から凶器を出してイオンを殺しかねないような、そんな視線でギルベルトは言った。
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