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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第33章 閉じ始める序説まで


「あっ……公子ちゃんダメだって、そ、そんなとこ蹴っちゃ――」

「その足アーサーさんのですよ」

「なにーっ!? やだっ汚い! 離れなさいよぬか喜びさせて!!」

「変態クソ髭そろそろマジで死ね!!」



――とまぁこれが、帰還後になされた最初の会話である。

もうちょっと感動的……いやマシにはならなかったのだろうか……。



ゴーストタウンの街路樹、そのテレポート地点の行き先。

つまり、こちらでの“再帰点”にフランシスがいて。

テレポートしてきた私たちに巻き込まれ、私たちの下敷きとなった。

そのために、あんなひどい再会となったわけだ。

私はあたりを見渡す。

打ち寄せる波音、飛び交う鳥たち、その声、とても遠くから風がやって来る。

空と海の境界からは、眩しい光が滲み出ていた。

すごく久しぶりに、朝焼けを見た気がしたのはなぜだろう。



そんなふうに、この再帰点は小さな港に位置している。

事前の説明にあったとおりだ。

やれやれと私たちは起き上がる。

フランシスとアーサーは、会えなかった期間交わせなかった罵詈雑言を消化するかのごとく、絶賛要修正音な喧嘩をしていた。

その騒ぎを聞きつけたのか、ある人物がやって来た。

ふらふらした足どりで歩くものだから、海に落ちないかヒヤヒヤさせられる。

目もとには漆黒のくまが刻まれ、明らかに睡眠不足なことを表していた。

「……」

彼の目が、私たちを視認して、緩慢に見ひらかれた。
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