第29章 for dear my imaginary blank
「俺は、何度か消失点を使ってテレポートしたことがある。
けど、すべて単なるA地点からB地点への移動だ。
……ただ一度を除いて」
アーサーが私に視線を放る。
つられて、アントーニョが私を見る。
「こいつと一緒のときだ。
公子がいたとき、AからBでなく、そのゴーストタウンを寄り道した。
ただし寄り道したことを――経由したことを感知したのは、公子だけだ。
俺を含めほかのやつらは、AからBとしか感じなかった。
……これがどういうことかわかるか?」
「……俺も、何度かテレポートしたけど、あんなん経由したのは今日が初めてや」
挑むようなアーサーの目つきに、アントーニョは考えこむ仕草を見せた。
彼がテレポートの数をこなしていたのは驚きだった。
しかし、次の言葉はもっと私を驚かせた。
「公子がゴーストタウン経由のトリガー、この結論が導きだせる」