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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第27章 By the turning point


「ボタンは見つかった?」

唐突なマシューの問いに、公子は戸惑った表情を見せる。

一拍おいて、返事をした。

「え……えぇ、見つかりました」

「嘘だね、まだ見つかってないはずだよ。だって僕が見つけたから」

柔らかい声で、けれどえぐるようなトーンでマシューは言い放った。

ポケットから銀色の小さな円を取りだし、#公子#に見せつける。

黙り込む公子。

その瞳には困惑でもなく、焦燥でもなく――薄い苛立ちが映っていた。

無表情なマシューはしばし沈黙を守っていたが、ふいにニコッと笑って、

「嘘。これコインだよ」

手にしていたものを、指で弾いて宙に放る。

戻ってきたコインを手のひらに乗せて、よく見えるように公子に差しだした。

それは紛れもなく、ただのコインだった。

「あとね、メールには『公子さんはもう帰った』ってあるんだ」

マシューは空いたもう片方の手で、携帯のディスプレイを#公子#に示した。

アルのメールの続きは、目の前にいる彼女の“帰還”を告げるものだった。

公子は無言を続けている。

答えるまで逃がさない笑みで、マシューはふわりと笑った。

「ねぇ、君はだれ?」
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