第3章 悪夢
~ヤムライハside~
ここ最近リョウちゃんを見かけない。ジャーファルさんの話によると風邪で寝込んでいるんだとか。
でも可笑しい。普通の風邪にしては長すぎるのだ。
誰も口にしないだけで、皆不思議に思っているようだった。
この前、剣術バカがアリババくんとリョウちゃんの話をしているのを見た。
何となく嫌な予感がした。でも、主のジャーファルさんは普段とさほど変わらない。変わったことといえば、最近自室に戻ることが増えた。
そもそもジャーファルさんはあれから誰も自室に他人を入れなくなった。
明らかに怪しい。ジャーファルさんは元暗殺者、ポーカーフェイスはおてのものだ。
_______いわゆる、究極の嘘つき。
王は何とも思っていないのかしら。
ヤム「...心配だわ」
考えるのをやめ、私は再び魔法の研究にはげむことにした。
~シャルルカンside~
リョウがいない。つい最近までいたのに。
急にいなくなった。まるで存在してなかったように。
何だかんだでリョウにはよく酒場に付き合ってもらってたから、それなりに心配だった。別に好きってわけじゃねぇけど。
...否。好きだったのかもな。
見た目が可愛いからって好きってわけじゃないが、あれだけの容姿ならそれなりに異性からの人気も高いだろう。
あのジャーファルさんでさえも、隣を歩くときに頬を染めていたくらいだ。
そういえば、あいつジャーファルさんの従者だっけか。
ジャーファルさんなら...何か知ってっかな。風邪だとはいってたが、流石に長すぎる気がする。リョウの具合だけでも聞いてみよう。
俺の足は自然とジャーファルさんの部屋に向かっていた。