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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第11章 ひとつの恋が終わる時



夏休み最終日。
めでたく実際にお付き合いを始めて、一週間弱。
アキラの宿題も無事全て終えて(、一年の頃から考えるとミラクルだそうだ)2人でゆっくりしようか、とカフェで寛いでいる時、私は昨日の出来事をアキラに説明した。

「海外…留学?」
「そう、親の新規事業の展開先について行くとかそんな…」

私は頭を抱えた。
さてこれからアキラと一緒に頑張って行けるかもしれない、そう思った矢先の出来事だった。

「それ、いつ行くの?」
「9月か10月…早ければ早い程って」
「は?いま8月末だぜ?」
「だから私もすんごく戸惑ってる…」

うう、と頭を抱える。
今まで自由にさせてもらっていた分、今更親の言う事に反論なんて出来ない。

「お兄ちゃんがお父さんの後継ぐから、私に負荷はもう何も無いって勝手に思ってたし、親もそのつもりだったみたい。」

私は母からもらった手紙を鞄から取り出す。

「でも、今回の新規事業に賛成の声を上げてくれたのが国外の企業だったみたいで、一番いい条件を出してくれてるのがそこみたいだし、これを機に父親がどんな仕事をしてるか知って欲しいのと、折角だし語学を習得して欲しいんだ、って。」

要はちょうど海外でお父さんの大きな仕事が決まったらしく、それに合わせて…との事らしい。
やっぱり全寮制とはいえ、娘だけをおいて国外へ行くことに抵抗がある気持ちは分かるのだけれど。

「…どうしよう。」
「どうしようも何も、…行くしか、ねんじゃねえの?」
「でも、私…折角。」
(せっかく、気持ちをきめた所だったのに。)
きゅ、っと唇を噛み締めて、アキラを見る。
「アキラと、これから頑張って行こうって、思い始めたばっかなのに」

「…でも、仕方ない、よな。」

「…え?」
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