• テキストサイズ

【CDC企画】ハイキュー短編集

第7章 【照島 遊児】お前がいないと楽しくない


「どこ行く?ゆーじくん行きたい所ある?」

「そうだな…」

おそらくお姉さんは俺を誘っているんだろう。
ホテル代出してくれっかな。なんて考えていると、前から見覚えのある人が近づいて来る。

「ひろか…」

「遊児・・!?」

ひろかはキレイにメイクをして、髪の毛はゆるめに巻かれ、服装もいつもよりも大人っぽくて、足元は高めのヒールが履かれていた。
そして・・・

「ひろか、知り合い?」

ひろかの隣には年上の男性がいた。

「…うん。ただの同級生」

ひろかはそう言って俺から目線を外した。
ただの同級生。そう、俺たちはただの同級生だ。

「じゃぁな」

俺はそう言って、ひろかの横を通り過ぎた。
別にひろかが誰と居ようが俺には関係ない。
俺だって隣にはきれいなお姉さんがいる。
楽しい。すごく楽しい。



「ねぇ!歩くの早いよ!」

組まれた腕を思いっきり引っ張られ、身体がグイっと一歩後ろに下がった。

「…ちっ。面倒くせぇ」

今はとにかく遠くに行きたかったのに。

「はぁ?面倒くさい?…最低!」

パシンと俺の頬を引っ叩いて、彼女は去って行った。
彼女の背中を見て、俺はふと思う。

「そう言えば、あのお姉さんなんて言う名前だっけ?」

叩かれて赤く腫れた頬を擦りながら、見えなくなっていく後ろ姿に手を振った。










「なぁ、あの後どーなったわけ?あのお姉さんとは!!」

次の日、母畑がワクワク顔で近づいてきた。

「なーんもねーよ。…それより、ひろかが男と歩いてた」

「・・・マジ?どんなやつ?うちの学校?」

「…多分年上。爽やかイケメン。穏やかそうで…」

昨日ひろかの隣にいた男性の特徴を言えば言うほど、アリジゴクにはまってしまった虫けらのような気分になる。

「確かに、ひろかちゃん最近キレイになったもんな。年上と付き合ってれば当然か!」

最後の一撃を放たれて、俺は机に倒れ込んだ。


/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp