第7章 【照島 遊児】お前がいないと楽しくない
「遊児、別れよう」
まさか、ひろかからそんな言葉を聞かされるなんて思ってもいなかった。
冗談だと思った。どうせ俺のことが好きで、戻ってくるんだろ?
そう思っていたけど、1か月経った今でもひろかからの連絡はない。
廊下ですれ違う時も、ひろかは一切俺の方を見ない。
わざとにひろかと同じクラスの友達の所に行ってみるけど、ひろかは表情一つ変えずに他の奴らと楽しそうにしていた。
俺と別れたことが広まると、ひろかを狙う輩も増えてきて、母畑まで俺も狙っちゃおうかななんて、バカなことを言い始めたりした。
「照島、へこむなって!な?今度の休みまたナンパしに行こーぜ?」
「・・・別にへこんでねーっつーの。自由になれて清々してるわ」
やっと手に入れた自由だ。満喫しないでどうする。
「ねぇ、ねぇ、お姉さん!俺たちと遊びに行かない?」
今日はとても豊作だ。
可愛い女の子がたくさんいる。
実際、現在ナンパをしているとお姉さん達はとても美人揃い。
しかも、結構向こうもノリノリのようだ。
「えぇ~、どうしよっかな~?」
「いいじゃん、いいじゃん!…ね?」
結局女子大生のお姉さん達とカラオケに行った。
楽しい。すごく楽しい。
「ねぇ、ゆーじくん?この後二人で抜けない?」
そんなお誘いを受けて、俺はそのお姉さんと抜け出した。
数時間前に出会った彼女と今は腕を組んで街を歩いている。
楽しい。すごく楽しい。