第2章 ギョンス
夢の中にいる私を甘い歌声が包んでいた。
温かい腕に抱かれて、どんな夢を見たのか覚えていないけど。
「…目が覚めた?」
うっすら差し込む光の中でゆっくりと瞼を開けると、そこには天使がいた。
その滑らかな頬に思わず触れる。
透き通るような肌に黒い髪のコントラストが絵のようで、息を呑んでしまう。
「ギョンス…いつから起きてたの?」
「ヌナが横にいると思ったら、あまり眠れなくて」
すこし甘えたように言う。
余裕たっぷりに私を抱いたくせに。
その長い睫毛の奥の瞳をじっと見つめる。
昨日の出来事は、それこそ夢だったのかとさえ思える。
この少年のようにあどけない彼が、どうやって私をあんなに乱したんだろう。
思い出すだけで耳が熱くなるのを感じて、布団をかぶった。
彼の胸元がすぐ目の前にあって、私の鼓動を更に速めた。
しなやかな腕に抱き寄せられると、微かに甘い香りがして目が眩みそうになる。
彼が放つこの香りは魔法のようだ。私を夢中にさせる。
「ヌナ…可愛い」
洗いざらしの私の髪を愛おしそうに撫でながら、彼の唇が私の額にキスをした。
「こうやってヌナのこと抱きしめてるのに…まだ足りない…」
彼の美しい声は歌のように聞こえる。
歌詞の一つ一つを大切にメロディにのせるようだ。
「私も…………もっと…ギョンスが知りたい」