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【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】

第2章 Happy Birthday Dear Eren





「オイ、いくつになった」

突然、リヴァイがエレンの隣にドカリと腰を落とした。

「16です」
「そうか・・・ガキだな」

吐き捨てるような口調だが、リヴァイの目は僅かに苦悩の色が浮かんでいる。

まだこんな子供に、自分はどれだけ残酷な選択を強いてきたのだろうか。
この憐れな子供は、どれだけそれに耐えてきてくれたのだろうか。

様々な思いが巡るが、それにエレンが気づくことはなかった。


「ひとつ大人になった祝いに教えてやる」


エレンの目を真っ直ぐと見つめる、二つの瞳。
静かで暗く、悲しみを携えている。
不思議と優しさも感じた。


「死に急ぐんじゃねぇ」


その瞬間、ケーキを口に運んでいたエレンの手が止まった。

そんなエレンに、リヴァイは気づいているのか、いないのか。
静かな口調で先を続ける。


「お前がこうして今、生きてることに感謝してる奴もいることだろう」


「オレが・・・生きていることに・・・?」


何故だろう。
その言葉を簡単には受け入れられないのに、何故かとても懐かしい。


「でも、オレは・・・化け物ですよ」

「だとしても俺の敵じゃない」


どのような姿に成り果てようと、人類の敵だろうと。
少なくとも今、この場にいる者にとって、お前は敵ではない。


「まぁ、ションベン臭ぇガキには理解できないだろうがな」


木苺の乗ったスポンジを口に入れ、僅かに口をもぐつかせるリヴァイ。
美味しいのか、不味いのか、その表情からは読み取れない。

いずれにせよ、エレンは嬉しかった。


もし・・・

身も心も化け物となって人類に牙を剥くことがあっても、誰かを傷つける前にこの最強の兵士は自分を殺してくれるだろう。
同時に、この場にいる仲間達さえいれば、その日は来ないように思える。



「エレン、誕生日おめでとう」



だからきっと・・・オレは生きていてもいいんだ。




「ありがとうございます」




エレンは微笑み、ケーキを頬張った。





『 Happy Birthday Dear Eren 』 Fin.






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