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薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第41章 花嫁



「あら、どうかなさったんですか?」

「いやぁ、二人が此処に来て随分が経つだろう? んで、他の奴らとちょっと気になる話題が出たもんだからよ、ほれこれ!」

「お酒……?」


 男は志摩子達に瓶を渡すと、にやにやと斎藤の方へと視線を向けた。斎藤は一瞬何かと思ったが、一気に顔を赤くさせて「あの……」と慌てだした。


「一様?」

「おうおう、斎藤さんはちゃんとわかってるみたいで安心したよ。まぁ、じゃあ、とりあえず渡すもん渡したからな! まぁた何かあったら、遠慮なく頼っておくれよ」
「え? あ、はい。いつもありがとうございます!」


 男は嬉しそうに立ち去っていった。志摩子がまじまじとお酒の瓶を見つめると、底の方に金粉が溜まっていることに気付いた。


「これ、きっと高いお酒ですよ!? でも私がお酒を飲めないことを知っているはずなのですが……どうしてまたこんなに大きなものを」

「志摩子」

「はい、なんでしょう?」


 斎藤は素早く瓶を志摩子から取り上げると「か、帰るぞ」と何故かがちがちで変な動きをしながら、家の中へと入っていった。志摩子はその理由がまったくわからず、とりあえず後を追いかけるように中へと入った。

 人里からも少し離れた、ほんの小さな村の離れ。そこで暮らす志摩子と斎藤は、村の人々にも温かく歓迎され幸せな時を過ごしていた。もう戦から離れて、いくつの春を越えたのか。数えることは、ない。

 風の知らせで、新選組の旗が戦場の真ん中ではためいて、まるで戦いの終わりを告げているようだと言われていることを知った。そこに、戦へと戻っていったであろう土方と千鶴のを行方は未だ知れぬままだった。

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