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薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第38章 動



「志摩子がいるということは、護身鬼達も後に仙台城に集う。綱道は鬼の道を外れた者、最早鬼としての誇りはない。ならば紛い物の羅刹と共に葬ってやるのがせめてもの情けというもの」

「そう上手くいくだろうか……」

「上手くいくかではない、上手くいかぬわけがない。そのために俺は、準備を整えてきたのだからな」

「風間、お前の目的はなんだ?」

「……志摩子を縛り付ける蓮水の呪縛は濃い。それも、貴様が想像している以上にだ。俺から貴様らに教えてやれることなど、ほんの一握りにも過ぎないが。斎藤、貴様に教えておいてやろう」


 風間の口から語られる、志摩子のこと。まさか彼の口から、そんなことを聞くことになろうとは勿論斎藤も思いもしなかった。


「志摩子は護身鬼との契約のせいで、強く蓮水家に縛られている。あやつが幼い頃、きっと義兄である栄によるものだろう。義弟である天と共に義理の兄妹達を巻き込んで護身鬼の契約を結ばせ、蓮水家唯一の女鬼を鬼を狙う人間共から守ろうとした。古来より、蓮水家ではその風習があったが暫くしてそれは禁忌とされ永久に封印される術のはずだった」


 どういうわけか、その禁忌の術を持ち出した栄が蓮水家繁栄のため、血を絶やすわけにはいかなかった。しかし蓮水家に生まれた純血の女鬼は、不運なことに志摩子ただ一人だった。栄は絶対に失うわけにはいかないと、禁忌に手を染めたのだ。

 だが、護身鬼となった鬼は契約者に危機が及ぶと、激痛と共にそれを知り危機が去るまでその痛みが続くという。つまりは、何処にいたとしても契約者は護身鬼から逃げることは出来ないということにも繋がる。

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