第3章 東峰 旭 (お誕生日おめでとう記念)
貴「ふぅん、でも、バレーが嫌いになったように見えないけど」
つばさは一息ついて話を続けた。
貴「私が高校生の時、現国の先生に言われた言葉を旭に贈ろう」
貴『今いる場所で 自分自身に負けず 勝ち抜き
人とくらべることなく 自分の誇り高き使命の道を 実直に前進する人が
幸福者であり 人間としての勝利者だ』
貴「あのさ、使命って命を使うって書くんだよ。こうやってる間にも命は短くなっていく。今旭は責任を感じてるんだろうけど、自分を責めすぎてない?今の自分を乗り越えていかないと、後がもっとつらくなるよ」
貴「まだ間に合うから大丈夫。ちゃんと居場所はある。戻りな。社会に出たら自分で道を切り開いて役割を果たさなくちゃ居場所すらないんだよ」
東(そうだ、俺は自分自身に負けたんだ)
自分の情けなさにギリギリと歯を食いしばる。
貴「はい、これお守り」
つばさは俺に鍵を渡した。
東「?どこの」
貴「うちのカギ。なんかあったらいつでもおいで。あ、来る前にメールは必須で」
東「・・・一応もらっとく」
平静を装っていたが、内心ではかなりドギマギしていた。