第8章 いちご味のキス
大野さんに出されたスプーンを
カプッと食べたら甘い味が広がった。
「偉い、偉い」
そう言って頭を撫でてくれる大野さん
ねぇ、さっきの答えは?
きっと心配してくれたのは、
優しいからでしょ?
『期待…させないで…ください。』
「…期待してよ」
そう言って大野さんはあたしの
熱くなった頬に優しく触れる
心臓が止まりそうになった。
ドキドキして、切ない気持ち
『…だめ…です』
ゆっくり近づく綺麗な顔
「嫌なら逃げな?」
『……だ…め』
言葉とは裏腹に彼を求めるあたし
〈スタートです!〉
その声と共に打ち上げ花火が
夜空に舞い上がる。
「…好き…」
『大野さ…ん……んっ…』
それと共にあたしと大野さんの
唇は愛しさを分けるみたいに重なった。