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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第10章 【赤葦京治】温もり


季節は12月。
はぁ、と吐息を吐けばそれは白くなり溶けて消えた。着込んでいるというのに肌を切り裂くような寒さを覚え、ぶるっと一つ身震いをする。
少しでも温まろうと精一杯服の袖を伸ばしかじかんだ手に息を吹きかける。一瞬だけど暖かい。

現在体育館でバレー部のマネージャーをしているが他の教室とは違って冷え込みが激しい。なのに男子と来たら、うっすい長袖一枚で寒さを感じさせないような動きをしている。

そんな格好して寒くないの?風邪引かない?なんて聞きたいところだが、体を動かして温まっているのだろうと理解して口は挟まない。だが私はそうはいかないのだ。寒すぎて凍え死にそうだからストーブの力を借りることにする。


ゆっくりのっそりと立ち体を縮込めながら10mぐらい先にある天国へ目掛けてあるき出した。


バシンッと体育館中に響く沢山のボールの音。いくつかはこぼれ球として自分めがけて飛んできたが慣れというスキルを活かし速やかに避けた。
我永にアッパレと内申褒めていたりする。この真冬に何十キロ、何百キロと云うボールに当たれば一溜まりもないからね。


そんなことを思った刹那、あぶねぇ!!という声が耳に入ってきた。何が、危ないのだろうと気になり振り返れば、言われていたのが自分だと気づく。なぜなら目の前にボールが迫っていたのだ。
対処法など考える暇もなくそのボールは私の顔面直撃した。


あたった瞬間は実はそこまで痛くなかった。しかし、後から次第に痛さを感じ始める。鼻から何か生暖かいものが出てきたと思い擦った。手を見れば赤い真っ赤な液体。血だ。


「うわ、ちょ……鼻血が!!」


下を向き、鼻の上の方を押さえながら部員たちに 「誰ですか!!こっちにスパイク打った人は!!」
と大声で叫んだ。皆に伝わるように。

すると声が届いたのか全員こちらに気づき犯人はすぐ名乗り出た。
「ごめん!!俺!!って鼻血?!、、大丈夫か!!」
「大丈夫じゃありませんよ」


木兎さんか。どうりで早くて強いはずだ。
しかも、私がボールに当たったことも知らないようで、鼻血を流れている事自体にに驚いているようだ。
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