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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第1章 【澤村大地】笑顔


「大地!!」


名前を叫ぶと勢い良く大地に抱きついた。彼は少しバランスを崩したが、しっかり受け止めてくれた。
少しの汗の匂いと柔軟剤の香り。
大地の匂いだ。あー落ち着く。
さっきまでのドロドロしていた気持ちが嘘のように、消えていった。


「だいち…....会いたかったよ…...」
「おいおい、そんなに泣いたら可愛い顔が台無しだぞ?」
「思っても無いくせに」
「んなわけ無いだろ?大事な彼女なんだから」


「よしよし」とでも言うように私の頭をそっと撫でてくれた。何時の態度からは想像出来ない程の優しい笑顔で。
しかし、真っ赤に腫れた目は無理して笑っているように見えた。相当悔しかったのだろう



「どうして此処に?」
「ずっと通話中のままだったから、心配になってな、」


彼は「ちょっと待っててな」と言いうとジャージのポケットも探り始める。出てきたのは、やはり携帯電話。「ほらっ」と魅せられれば通話中の文字。
私が切るのを待たないで、先に切れば良かったのに。何分付けっぱだったのよ、お金かかるじゃない。
なんて言いたいところだが、機嫌を悪くしたら困るので言わない事にしておこう。



すると不意に目の前で「カシャッ」っとシャッター音が鳴り吃驚する。
何だ何だと、背伸びして携帯を除けば液晶画面がカメラモードに切り替わっていた。



「何勝手に撮ってんのよ」
「いや、泣いてる顔も意外と可愛いも思ってな、」
「いつから大地はそんな性格になったの」
「何言ってるんだ。お前の前だけに決まってるだろ」
「何それ」


一瞬沈黙が走ったかと思うと「ぷっ」と笑みが零れ出す
やっぱり、大地といると楽しい。ずっと笑ってられた。そう思っていたら、急に足の力が抜け、崩れ落ちた。笑い疲れたのか。それとも風邪のせいなのか。意識が朦朧として目を開けているのがやっとだった。

「おい!大丈夫か?!すごい熱、、、やっぱりな」

相当の高熱なのか、額に乗せられた大地の手がとても冷たく感じる。
ああ、もうすこし持つと思ったのに、また、迷惑をかけるのか、せめて歩けたらな。そこで私は意識を落した



目を覚まして時計を見れば、もう10時を回っていて、当然大地もいなかった。布団に目を落とすと少し違和感がある。触ってみれば、少し暖かかった。




 
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