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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第5章 【月島・山口】幼馴染


「ねぇ、ツッキー!」
「ツッキーって呼ばないで」
「ごめんツッキー!」
「山口みたいに言わないでくれる?」
「え、?!ごめんツッキー!!」
「山口、お前に言ってないから」


夕暮れ、陽炎の中、3人の影がコンクリートに写っていた。生温い風が自分たちを強く吹き付けすり抜けていく、気持ち悪い。せめて涼しかったら良かったのに。部活帰りのせいか疲れは少しあるが蛍や忠とは比べ物にならない。この二人は私の何十倍も疲れてるんだから。


「ねぇ、二人とも!」
「なに?」


月島と山口の声がハモる。なんだかんだ言っていきぴったりじゃん。クスっと笑うと蛍に軽く頭を小突かれた。

「で、なんなの?」
「あのね、最近駅の近くに新しいケーキ屋さん出来たでしょ?」
「ああ、あそこの」
「うん。でさ、友達から割引されるチラシ貰ったんだけど3人で一緒に行かない?」


彼女がそういった時、月島は嬉しそうにして一瞬目を輝かせた。目があったと思うと急に不機嫌な顔をしてっぽ向かれる。蛍、ケーキ好きなんだ。良かった嫌いじゃなくて。フワフワ浮かれてそっぽ向かれた事なんて気にならない。


「ほんとに行っていいの?、友達とかと行ったりとか……」
「いいの、いいの!私が誘いたかっただけだから」
「お、俺も行っていい?」
「当たり前じゃん、じゃなきゃ誘わないよ?」
「そうだよね!」

顔をくしゃっと寄せ嬉しそうに笑う忠。やっと笑ってくれた。


最近、チームの皆の役に立てず「このままじゃダメだ」と思った忠は、皆との差を縮める為に日向達と一緒に自主練していて。どんなに頑張っても余り成果は出せず悔んでいた。そのせいかいつもお喋りで明るい彼は窶れている。しかも月島が心配するほど。


よかった、ホントに誘えて。
二人の息抜きにでもなってくれたらいいな。



「、着いたよ。」
「え、あ、もう?」


もう、家についたのか。
一人じゃとても孤独で寂しく長く感じる帰り道。なのに数ヶ月ぶりに幼馴染と帰った道は違っていた。賑やかで明るくて楽しくて一人ぼっちじゃないんだって。誰かと居るってこんなに嬉しいことなんだ。



「じゃ、明後日一緒に行こうね!」
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