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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第4章 【及川徹】花


空は真っ青で雲一つない晴天。桜は散り木は青々とした葉に包まれていた。月は5月初旬。

ざわざわと楽しげな音楽や会話が聞こえるショッピングモール。なにか良い店はないかと辺りを見回しながら3階を歩いていた。


明日は俺の大事な彼女の誕生日。今日は部活が休みだからプレゼントを買いに行こうと思ったのだがいざ来るとなかなか買う物が決まらない。女子は小物とか好きそうだよな。けど友達とかから散々貰ってそうだし、被ったら困る。


「どーしよ……」


可愛い店を何件か回ってきたがどこに行っても「彼女さんのプレゼントですか?」と聞かれ沢山の物をすすめられる。俺だって一応、男子高校生なんだから財布にそんな余裕ないよ。

いくら持っているか気になり鞄から財布を取り出し中身を見る。目線の先にはお札が一枚だけ。しかも野口英世の方。今までお金を貯めて来なかった自分に絶望した。これでどうやって今月を乗り切ろうとしたんだろ。

俺って、いつもこうだよなぁ。甘えてばっかで実際お返しなんてろくにしてあげられない。


彼女にはいつも助けられている。心配させて、困らせて、迷惑かけてばっかで。
それなのに、「大好き!!」なんて笑いながら優しい言葉を掛けてくれる。俺はそれだけで嬉し過ぎて、舞い上がっちゃうし、何時も以上に頑張れる。こんな、沢山の感謝の心を込めて贈る「おめでとう」のプレゼント。彼女の誕生日を迎えるのはこれで6回目だ。

せっかく一年に一回の彼女の誕生日なのに、安物はチョット……ね。岩ちゃんに相談した時は、
「彼氏から貰えるなら何でも喜ぶんじゃないか?大事なのは気持ちだろ」なんて珍しくイケメンなこと言ってたけど、やっぱり、少しでもいいものあげたいじゃん。

憂鬱な気分の中歩く、ショッピングモールは自分には少しキツイ。楽しげに聞こえていた筈の音楽や会話が俺を嘲笑うかのように聴こえてくる。まぁ、気のせいだけど
早く此処からでて彼女のもとに行きたい。プレゼント渡して思いっきり、喜んでもらうんだ。

そんな事を考えながら回っていると珍しい店が目に入った。小さな店に色鮮やかな花々が綺麗に並んでおり、良い香りがする、花屋だ。何でこんな所にあるんだろ。ショッピングモールだよ此処!!
頭に手を当て考えて見るが何か思いつくわけでもなく、プレゼント花にするかー、なんて呑気なことを考えながら店に足を踏み入れた。
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