第3章 赤目も成長すると美味しくいただけます
私の腕の中でニヤリと効果音がつきそうな笑みをたたえて此方を見ている男の子。
「ご苦労」
一言男の子は、そお言うと私の腕の中から出ていった。
「約束通り瘴気はしまったぞ、どうだ偉いか?」
私の目の前で上目遣いはやめてください。食べますよ?
「え、偉い偉い…ぐっ…」
萌える気持ちを我慢しつつ、褒めろ!っと目で訴えている魔王の頭を撫でた。
「そうだろう、こんな事は朝飯前だ」
私に撫でられながら威張っても…可愛いだけですよ。
「…せ、成長しただと…」
少し離れた所から、アル君の声が聞こえてきた。心なしか声が震えてる。
チラッとアル君を見ると、声だけじゃなく肩まで震えてる。
あ、あれは怒りを堪えてる雰囲気だ…。
やばいな…っと思っていると
「…けど、瘴気は消えたねえ」
と近づきながら我関せずな感じで教頭。
「色々聞きたい事はあるんだけど…とりあえず、一緒について来てもらおうかな?」
何か考えてるのか、困ってるのか…片手で頭の後ろを掻きながら近寄る教頭に「あ、はい」と慌てて魔王を撫でるのを止める。
「じゃ、行こうか」
そんな私に微笑しながら、神託の間があるらしい方向に歩き出した。
教頭の後姿を追う様に、魔王の手を掴み後に続く。
あ、でも魔王…小さいから抱っこしたほうがいいかな?
と思い
「抱っこしようか?」
と聞くと
「…気にするな、歩ける」
プイと顔を横に向けてしまった。赤ちゃんの時と仕草は一緒だなんて可愛い!と思いながら「了解」と返事をし、少し歩調はゆっくりめに歩いた。
教頭もそこら辺は分かっているようで、ゆっくりめに歩いてくれてる。
そんな中、後ろからどす黒い敵意を感じた。
黙ってついて来てはいるが、アル君なのは確実だ。
あー、美少年に嫌われるのは辛い。と凹みながら遠い目になるけど、嫌われる心当たりがありすぎて遠い目から申し訳ない気持ちに変わった。
人類の敵である魔王を孵化させるは、しまいには赤ちゃんから成長させるわ…私ならそんな人物敵認定する。
まあ、しょうがない…とため息を吐き、教頭について行く事だけに集中しよう!と決めたのだった。