第9章 一瞬の間
「もういい、死ね」
途端、三鬼の腕が飛ぶ。
櫻子を締め上げていた腕が、宙に舞い櫻子は力なく地へと崩れ落ちた。荒く咳を繰り返しながら、酸素を吸い込む。
「げほっ、げほ……っ」
「貴様はその程度なのか……櫻子」
「殺生丸……さん……っ?」
「てっ……めぇえええッ!!」
腕を切り落とされた三鬼が、殺生丸へと襲い掛かる。しかし殺生丸は相手にもならないと言いたげに、攻撃を避け蹴り飛ばした。
三鬼は二鬼が倒れている場所へと、飛ばされる。
「人間とは弱い、軟弱な生き物よ。そのお前が、その刀を持って何を為す? 答えてみよ、櫻子」
「私は……っ」
「使えぬのならその刀、貴様の手には余ると言ったはずだ。そしてお前はなんと答えた?」
「……やってみせますと、お答えしました……」
「お前があの時言った言葉は嘘か? この殺生丸に、嘘を述べるか?」
「……いいえ」
よろりと、刀を握り櫻子は立ち上がる。
「すみません、何処か弱気になっていたのかもしれません。本当は……私にこの刀は扱えないのではないかと。でも違いますよね、そうやって心が負けていてはいけませんね」
櫻子は構えを変える。突きの構えに入り、二体の鬼を睨み付けるように捉える。
「ふんっ、貴様のなまくら刀で何をしようというっ!?」
「貴方達を……この手で倒すだけですっ!! 奥義・絶円破ッ!」
力のままに刀を前へと突き出す、途端そこから勢いよく竜巻となり一直線に二体の鬼達へ向かって放たれた。